私は告白する

1952年/白黒/原作ポール・アンセルム/脚本ジョージ・タボリ、ウィリアム・アーチボルド/出演モンゴメリー・クリフト、アン・バクスター、カール・マルデン

私は告白する – 解説

主人公がカトリックの神父であることにこの物語の基本的な鍵がある。神父は懺悔を聞く義務があるが、それを口外することは道にそむくとされている。ところがこの主人公はそれを守り抜こうとしたために、自分自身が犯人と目されてしまう。そこまでして道を守らねばならないということに非カトリック教徒の観客は首をひねったりもした。ちなみにヒッチコック自身もカトリックであったが、むろんここでは宗教上の問題を提示したわけではなく、素材として用いているにすぎない。
ポール・アンセルムの戯曲の映画化。脚本はジョージ・タボリとウィリアム・アーチボルドの共同執筆。撮影は「見知らぬ乗客」のロバート・バークス、音楽の作曲指揮は「吹き荒ぶ風」のディミトリ・ティオムキンのの担当。主演は「終着駅」のモンゴメリー・クリフトと「人生模様」のアン・バクスターで、カール・マルデン(「欲望という名の電車」)、ブライアン・エイハーン(「大地は怒る」)、O・E・ハッセ、ロジャー・ダンらが助演する。

私は告白する – ストーリー

カナダの都市ケベックの教会。ここの神父館で働くオットー・ケラー(O・E・ハッセ)は、ある夜、神父マイケル・ローガン(モンゴメリー・クリフト)に重大な告白をした。ケラーは生活苦の末、強盗を働いて弁護士ヴィレットを殺害したのだ。この事件はラルー警視(カール・マルデン)が捜査に乗り出した。ケラーは犯行のとき僧衣をまとっていたので、マイケルに疑いがかかって来た。だが聖職にある彼は、告白の内容を洩らそうとはしなかった。そのうえ、兇行の夜、マイケルが国会議員グランドフォードの妻ルース(アン・バクスター)と逢っていたこともわかって、彼への心証は益々悪くなった。ルースは無実を明かすために良人、検事、警視、マイケルらの前で、マイケルとの過ぎし日の恋を打ちあけた。