The Ring/1927年/ブリテッシュ・インターナショナル・ピクチャーズ作品/白黒/無声/制作:ジョン・マックスウェル/脚本:アルフレッド・ヒッチコック/潤色:アルマ・レヴェル/撮影:ジャック・コックス/出演:カール・ブリッスン、リリアン・ホール=デイヴィス
リング – 解説
ヒッチコックは、はじめてここで自分の原案によるオリジナルを手がけ、ヒッチコック夫人アルマ・レヴィルが潤色者としてはじめてクレジットされた。ストーリーは一人の若い女をめぐる拳闘選手二人の葛藤であり、エリック・ロメールはここに早くも不倫の関係というヒッチコック的素材が現われていることを指摘しているが、演出の細部においても彼らしい工夫がいくつかある。また、原題の「リング」は、ボクシングのリングを示すとともに、ボブが、ネリーに贈った結婚指輪のことも意味している。なおこの作品は、これまでゲインズボロー社からBIP(ブリティッシュ・インターナショナル・ピクチャーズ)に転じてのヒッチコックの第1作である。