1951年/白黒/原作バトリシア・ハイスミス/脚本レイモンド・チャンドラー、チャンチ・オーモンド/潤色ホイットフィールド・クック/出演ファーリー・グレンジャー、ルス・ロマン、ロバート・ウォーカー
見知らぬ乗客 – 解説
言葉を失うくらいの映像魔術に陶然とする、テーマ的にも手法的にもヒッチコックの絶頂を示すスリラーの傑作。開巻の視覚的な、二人の男の“接近遭遇”を示すショットの連なりからして、大胆で素晴らしい効果をあげている。「太陽がいっぱい」のP・ハイスミス原作の同性愛的ムードを底辺に漂わせ、ひたすら強烈な状況設定の鎖として映画を見せていくヒッチコック演出。
見知らぬ乗客 – ストーリー
アマチュア・テニス選手として名の通っているガイ・ヘインズ(ファーリー・グレンジャー)は、ワシントンから故郷メトカルフへ離婚のため帰る途中、列車の中で不思議な青年ブルノ・アントニー(ロバート・ウォーカー)と知り合った。彼は、ガイが最近妻ミリアムと不和になり、モートン上院議員の娘アン(ルース・ローマン)と結婚したがっていることを知っていて、自分の父を殺してくれるならミリアムを殺してやろうと申し出たのである。むろんガイはこの交換殺人を一笑に付したが、アントニーは遊園地の草原で本当にミリアムを殺してしまった。ガイはアリバイが不充分なまま刑事の尾行を受けることになったが、そのスキを狙ってブルノははしつこく返礼殺人をガイに迫るのだった。