第3逃亡者

Young and Innocent/1937年/ゲインズ・ボロー=ゴーモン・ブリティッシュ作品/白黒/製作:エドワード・ブラック/原作:ジョセフィーン・ティ/脚色:チャールズ.ベネット、エドウイン・グリーンウッド、アンソニー・アームストロング、ジェラルド・ザヴォリ/撮影:バーナード・ノウルズ/音楽:ルイス・レヴィ/編集:チャールズ・フレンド/出演:ノヴァ・ピルビーム、デリック・デ・マー二ー、パーシー・マーモント、ジョージ・カーゾン

第3逃亡者 – 解説

無実の罪を晴らそうとする男が真犯人を追うサスペンス作品。この作品の圧巻はラスト近くホテルのボール・ルームの場面である。カメラはロング・ショットで大広間をとらえ次第に広間の奥で演奏している黒人に変装したドラマーに接近し、ついに激しくまばたきする眼のアップに至るまでクレーン車による大トラック・アップを見せるのである。のちの「汚名」でイングリッド・バーグマンの掌の鍵に近づいていくショットと共通したものだ。また廃坑に車がのみこまれ、主人公がヒロインに手をさしのべるスリルは「北北西に進路をとれ」にまで発展するヒッチコック式見せ場である。

第3逃亡者 – ストーリー

映画女優クリスティン(P・カーム)は、嫉妬深い夫ガイ(ジョージ・カーゾン)に男出入りをなじられた翌朝、死体で浜に打ち上げられた。発見者は被害者と顔見知りのロバート(デリック・ド・マーニー)。通報しようとした彼は来あわせた女達にとがめられ、逆に逮捕されてしまった。凶器として使われたのは、彼のレインコートのベルトだったのだ。無実を主張するロバートは徹夜のとり調べに失神し、入って来た警察署長の娘エリカ(ノヴァ・ピルビーム)に介抱された。やがて正気づいた彼は濡れ衣をはらすため、彼女の車に隠れて脱出する。エリカにかくまわれるロバートだが、エリカは彼の保護者気取り。レインコートをなくした酒場で、彼女はウィル(エドワード・リグビー)という名を聞き出す。さらに、近くのエリカの叔母の家によったため、二人は検問にひっかかり、彼女も共犯と思われる。